武器を設計する人の気持ち?

世界はカネ余りだ。いつか大きな調整局面がくるだろうと思っている人が多いし、実際、僕もそうなるだろうと賭けている。

円もドルも金も本来の価値をはるかに超えた信用を抱えている。バブル。細かい通貨に分散投資したところで、ドルペッグよろしく、あらゆるものがペッグしているので、本質的な分散にはなっていない。株やら不動産やら投資信託も巨視的にはペッグしている。膨らめるところまで膨らむよね。フロンティアを食いつくすまでは。

で、フロンティアが無くなると起きるのが、富裕層同士の戦い・蹴り落し合いだ。バブルが破綻したときに、もっとも割を食うのは「頑張って生活費以上を貯金している人」になる。すべてをデザインするピラミッドの再頂点には、調整済みの膨大な資産が残る。一方、ダラダラとその日を浪費している人にはバブルがはじけたところで影響がない。例えば、預金封鎖を例にとれば、預金封鎖を実行する人は事前に資産を逃がせるし、預金を持たない人には影響がない。つまり、それ以外の、頑張って真面目に働いている、いわゆる「普通の人」が、そうでない人の過去の膨大な信用・負債をすべて引き受ける構図になるしかない。

自分は何のために仕事してるのかなぁとふと考えてたら、やっぱり、家族や友人ほか、世話になった人に恩返しがしたいんだろうなぁと。大して役に立たないシェルターかもしれんけど、小さくても防壁をコツコツ作ってる感はやりがいになっているかもしれない。「あんたがいて助かったわ~」と言ってもらえる日に、やっと達成なのかも、とか思ったり。

でも、破綻が起きてほしいような起きて欲しくないような、複雑な気持ちになる。
たとえば、武器を設計してる人は、こういう気持ちになるのかもしれない…?

本日、はじめてセミの鳴動確認。

いい季節が来る!

ミジンコと人間は今でも共存してる

世の中の人は、例外なく、誰かに騙されてる。
騙されてるという言葉は煽り言葉なので、正確じゃない。
騙されているというのは不利益なニュアンスがあるけれど、必ずしも不利益が目的で騙しているわけではない。

いい言葉ないかなと考えていたけれど「豊かになるように誰かにデザインされている」というのがいいかも。これだと少しは不利益なニュアンスがなくなるかもしれない。

とにかく、自分の意図で生きているようでいて、その意図が誰かによってデザインされている。

いやべつに電波な話をしているわけじゃない。日常はデザインされている。

たとえば、ジャンクな肉が食いたいな~とおもって、ケンタッキーに行くとする。ここでジャンクな肉とケンタッキーのマッピングは積極的にあらゆる手法でケンタッキーが植え付けている。広告を見るとかCMを見るとかは露骨で誰もがその意図を感じられる。でもビジネスというのは無意識の中にマッピングを作り出すあらゆる手段が講じられている。たとえば、誰かの家にいったときにケンタッキーが出てくる経験をすると、それがケンタッキーとパーティのマッピングのひとつの材料になる。ケンタッキーはパーティセットを作らない選択肢も持っていたはずだ。それなのにパーティセットというセットを作った。パーティセットがある今からすれば「そんなのパーティに使えるから企画したんじゃん」で終わりなのだけれど、パーティセットという概念がなかったときにそれを作った。

ケンタッキーはかわいいもので、世の中にはもっともっと巨大なデザイン、設計が存在する。そして場合によっては搾取構造になっている。例えば、税金や法律。なぜあんなに法律は難しいのか。実際には六法全書を読まずになぜ生きられるのか。自分たちが乗っているプラットフォームであるはずなのに、誰もプラットフォームについて何もしらないし、知る必要がない。知ろうと思うには、知るコストに見合うだけの理由が必要だ。つまり知りたいと思うシーンがなるべくでないように設計されているからだ。

繰り返すけれど決して悪意によってデザインされているわけではない。無意識にかつ知らずに生きることができるのは、これまで苦しんできた代々の人間が考え抜いて作り上げたプラットフォームだからだ。搾取は平和にとって必要だから搾取されている。(という建前ではあるけれど本当は知らない)

でも、それでもやっぱり自分は第三者の意図から自由でありたい、と思う。

毎度毎度、進撃の巨人のたとえだけれど、理由はなくても壁の外に出たい、という話。

人間は社会性の生き物であって、個体単体ではなくて、個体同士の相互作用で生きるように全ての進化が起きている。だから個体である個人が乗るプラットフォームは個体の相互作用の基盤であり、いわば体組織の基本構造にあたる。そして1細胞が体全体を知ることができないように、そのプラットフォームの全容を理解している人は誰もいない。べつに日本の首脳であったって、アメリカの首脳であったって、全てを理解しているわけじゃない。もっと深く深い、人と人との相互作用の奥底に畳みこまれたものだから。

それでも、やっぱり、相互作用から抜け出して俯瞰してみたいと思ったりする。社会システムからの完全独立は、例えれば、多細胞生物から見た単細胞生物、人間から見たミジンコに相当する。今でもミジンコは人間と共存してるから、ワンチャンokかもしれない。

人間はミジンコを下等生物だと思い込む。僕だってミジンコやらゾウリムシを見て、あー小さいのに頑張るねー 指で触ったらつぶれちゃうのに、がんばるねー ぐらいしか思っていなかった。

でも最近は、ミジンコ側の立場になって考えれば、ミジンコは人間をひとつの人間として見ているのではなく、構成する一つ一つの細胞を見て、そして「個性もない単機能な細胞が
何兆個も集まっているが、あれは何なんだ、何してるんだ」と、不思議に思っているのかもしれないとか、思うようになってきた。

次にミジンコを見た時には、ぜひ、握手しようと思う (つぶさないように

brexit、信用収縮

今回の英国の国民投票は、資本主義や金融経済の秩序の大きな調整が近いことを示すひとつの事象だ。

先のリーマンショックにしろ、世界的な規模とは言っても、国際秩序との連動までにはならなかった。ここにきて、国家や社会の秩序と連動した信用収縮(バブル崩壊)の懸念が高まっている。これは歴史上初のことで、これから数十年は20世紀に築いたものの崩壊プロセスとして記録されると思う。

信用収縮とはつまり財の相対価値が下がるということで、財をもっている人間であればあるほど、端的に言えば金持ちであればあるほど、信用収縮のダメージが大きい。

金持ち、特に生まれつきの資産家は、金持ちであることがアイデンティティの基盤だ。金を失うことは自分を失うことと同じだと信じ込んでいる。だから信用収縮が怖くて仕方ない。いつ自分の手持ち財産が消えて庶民になるかと恐れていて、それを回避するためには自分の存在とアイデンティティをかけて死ぬ気になる。

金持ちは財産をいろいろな形で保有する。
株式・現金・債権・土地・不動産。いわゆるリスク分散。
このうち株は少しのバブル崩壊ですぐに価値が上下する。
世界経済レベルの信用収縮が起きれば、通貨や国債ですら危ない。
だからすべて現金や株式で保持する金持ちはいない。
だいたい、不動産やら油田やら鉱山やら、財産の一部は実需があるものに変えておく。
それでも不動産の利回りなんてよくて数%、リスクもそれなりに大きい。

理想的なのは「事業」だ。株による間接的な会社の保有ではなく。人間の欲とお金を交換することのできる力だ。食品だってソフトウェアだってトイレットペーパーだってなんでもいい。すべての財の根源はここにある。

逆に言えば、いま迎えている資本主義と金融経済の崩壊は、お金と欲が交換不能になってきているのが本質だ。実需が細ってきている。もっと簡単に言えば、みんな買いたいものがなくなっている。いや、買いたいものがないんじゃなくて、努力してまで欲しいものがない、か。

頭の整理 単一の規模の限界と分散システムの時代

頭の整理!

至極一般的な話、単一のやり方には最適な規模というものがある。そして最適な規模をオーバーして拡大させれば効率が犠牲になる。あるとき、ペイしなくなる。次に起きるのは、効率の良い小規模なものを大規模にまとめあげるシステムの進化だ。

生物の進化になぞらえれば、一時期、恐竜の時代、生物は体を巨大化させた。巨大化することが生存競争に有利になる。でも実際は巨大化することのデメリットが表面化しなかっただけだった。環境変化によって潜在的なデメリットが露呈してすぐ絶滅した。次に台頭したのは単一の個体が巨大な生き物ではなく「社会性」であった。それは単一の個体として最適な大きさをもちながら、それが別個体と連携して、擬似的に巨大な生物として維持されていく仕組みで、たとえば人間がそれにあたる。

例えばCPU、単一コアの微細化と高速化は限界が見えている。だからコアを複数持たせるとかGPGPUのように並列処理に特化したアーキテクチャの方向に進化している。例えば機械学習。単一の汎用の大規模な学習器ではなく、一つ一つは単純な判別をする学習器を組み合わせ、それを重み付けにのネットワークを構成することで全体として規模と性能を両立した学習器に仕立てる。

もちろん、この流れはビジネスや社会システムにも起きる。

もともと、強力な中央集権が抱える問題ゆえに、地方分権が考えられた。要するに、1人の王様がみんなから搾取しまくると、配下の能力のある人間から常にクーデターを企てられ、その繰り返しで国家として疲弊して、外敵に負ける。この構造的な問題に対して、能力のある人間にはそれなりに権力を分け与えて「ミニ王様」をやらせることで、自らのクーデターを企てられる確率を低くする。王様としては、頭と尻尾はくれてやるから、システム全体としての持続可能性を高めることができる。

じゃあビジネスの視点で考えると、小規模の集合体が集まっていく時代という考え方になるのだけれど、ではどのぐらいの小規模を束ねるのが一番良いかという話になる。たぶんそこがフロンティア。前のイジメのエントリに書いたけれど、スポットライトがあたらない価値というのは、本当に絶大だと思う。